沈降20価肺炎球菌結合型ワクチン
プレベナー20水性懸濁注は、キャリアタンパク質であるCRM197に結合した20種類の血清型の肺炎球菌莢膜ポリサッカライドを含有する沈降20価肺炎球菌結合型ワクチン(無毒性変異ジフテリア毒素結合体)です。本剤の接種により、ポリサッカライドに対するT細胞依存性の免疫応答及び抗体応答が誘導されます。高齢者又は肺炎球菌による疾患に罹患するリスクが高いと考えられる者及び小児に用いられます。
本ページの効能・効果および作用機序は、PMDAが公開する添付文書(プレベナー20水性懸濁注、631140LC1023_1_05、2026年8月改訂 第3版)と、成人用肺炎球菌ワクチンファクトシート(令和7(2025)年7月4日、国立健康危機管理研究機構/国立感染症研究所)に基づいています。承認の事実はPMDAの現行添付文書で確認できます(承認番号30600AMX00115、販売開始2024年8月、製造販売元 ファイザー株式会社)。添付文書の製法の概要には、CRM197の製造工程において、カザミノ酸(ウシ乳由来成分)を使用している旨が記載されています。
接種不適当者(予防接種を受けることが適当でない者)として、添付文書は「本剤の成分又はジフテリアトキソイドによってアナフィラキシーを呈したことがあることが明らかな者」「明らかな発熱を呈している者」「重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな者」「上記に掲げる者のほか、予防接種を行うことが不適当な状態にある者」をあげています。重大な副反応として「ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)」「痙攣(熱性痙攣を含む)(0.1%)」「免疫性血小板減少症(頻度不明)」の記載もあります。また添付文書は「本剤は保険給付の対象とならない(薬価基準未収載)」と記載し、貯法は2~8℃で保存、取扱い上の注意として「シリンジは水平方向に保管すること」(シリンジを立てて保管した場合、薬液中の沈殿物が懸濁しにくくなるおそれがある)を定めています。定期接種を含む現在の接種予定(対象者・回数・間隔・費用助成の有無)は、市区町村および最新の添付文書でご確認ください。本ページは完全な安全性情報を含みません。本ページは情報であり、医療アドバイスではありません。接種の適否は医師の判断と最新の添付文書に従ってください。
作用機序
薬が体の中で何をするかを説明します。用量・副作用・安全性の説明ではありません。
たとえ話
肺炎球菌は莢膜ポリサッカライドという多糖体の「マント」をまとっています。このワクチンは20種類のマントの見本をキャリアタンパク質につないで、接種によって免疫系に事前に示します。ヘルパーT細胞の働きも借りてメモリーB細胞までつくられ、本物の菌に出会ったときには、オプソニン化、貪食作用及び殺菌作用が促進されます。
平易に言うと
本剤は、キャリアタンパク質であるCRM197に結合した20種類の血清型の肺炎球菌莢膜ポリサッカライドを含有します。本剤の接種により、ポリサッカライドに対するT細胞依存性の免疫応答及び抗体応答が誘導され、産生された抗体は肺炎球菌に対するオプソニン化、貪食作用及び殺菌作用を促進し、肺炎球菌感染症の予防に寄与します。国立感染症研究所(現・国立健康危機管理研究機構)のファクトシートは、キャリアタンパク質(無毒性変異ジフテリア毒素CRM197等)を介して活性化されたヘルパーT細胞の働きにより、2歳未満児においても免疫応答を惹起し、血清型特異的な機能抗体を産生するとともに、免疫学的記憶を付与すると記載しています。
詳しく
添付文書(18.1 作用機序)は次のように記載しています。本剤は、キャリアタンパク質であるCRM197に結合した20種類の血清型の肺炎球菌莢膜ポリサッカライドを含有する。本剤の接種により、ポリサッカライドに対するT細胞依存性の免疫応答及び抗体応答が誘導され、産生された抗体は肺炎球菌に対するオプソニン化、貪食作用及び殺菌作用を促進し、肺炎球菌感染症の予防に寄与する。また、メモリーB細胞の産生を誘導することにより、肺炎球菌に対する免疫記憶を成立させる。同ファクトシートは、PCV20について、20種類の血清型を示す肺炎球菌をそれぞれ培養し、各型の肺炎球菌莢膜ポリサッカライドを抽出し、精製した後、キャリアタンパク質CRM197と結合させ、混合した不活化ワクチンであり、アジュバントであるリン酸アルミニウムが含有されていると記載しています。また、PCV15、PCV20等の結合型ワクチンはキャリアタンパク質を介して細胞性免疫を含めた免疫応答が強化され、特に免疫が未熟な小児や免疫抑制状態の成人に効果が期待されるとしています。
アニメーションで仕組みを見る
仕組みを分かりやすくした模式図です。縮尺や形は実際のものではありません。
肺炎球菌感染症の予防に寄与します
- 肺炎球菌は莢膜ポリサッカライドという多糖体の「マント」をまとっています。
- 本剤は、キャリアタンパク質であるCRM197に結合した20種類の血清型の肺炎球菌莢膜ポリサッカライドを含有します。
- ヘルパーT細胞の働きも借りてメモリーB細胞までつくられ、本物の菌に出会ったときには、オプソニン化、貪食作用及び殺菌作用が促進されます。
- また、メモリーB細胞の産生を誘導することにより、肺炎球菌に対する免疫記憶を成立させる。
ターゲット:肺炎球菌莢膜ポリサッカライド
本剤は、キャリアタンパク質であるCRM197に結合した20種類の血清型の肺炎球菌莢膜ポリサッカライドを含有します。ファクトシートは「肺炎球菌による感染症は、莢膜多糖体を抗原としたワクチンの接種により予防可能な疾患となっている」と記載しています。本剤の接種により、ポリサッカライドに対するT細胞依存性の免疫応答及び抗体応答が誘導され、産生された抗体は肺炎球菌に対するオプソニン化、貪食作用及び殺菌作用を促進し、肺炎球菌感染症の予防に寄与します。
承認された適応
適応は国によって異なり、変わることがあります。必ず最新の添付文書に従ってください。
Japanでの承認適応
PMDA- 高齢者又は肺炎球菌による疾患に罹患するリスクが高いと考えられる者
- 肺炎球菌(血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、8、9V、10A、11A、12F、14、15B、18C、19A、19F、22F、23F及び33F)による感染症の予防
- 小児
- 肺炎球菌(血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、8、9V、10A、11A、12F、14、15B、18C、19A、19F、22F、23F及び33F)による侵襲性感染症の予防
公式ソース
このページの記述は、以下の記録に遡ることができます。
- PMDA 医療用医薬品添付文書(プレベナー20水性懸濁注、2026年8月改訂 第3版)
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)
- 成人用肺炎球菌ワクチンファクトシート 令和7(2025)年7月4日
国立感染症研究所(現・国立健康危機管理研究機構)
このページは、薬が体の中でどう働くかをやさしく説明するためのものです。使うときの注意は、お手元の説明書か薬剤師さんにご確認ください。
MedUnfold は教育目的のコンテンツであり、医療上のアドバイスではありません。必ず最新の添付文書と医療専門家の指示に従ってください。