エタネルセプト
エタネルセプトは過剰に産生されたTNFαおよびLTαをおとりレセプターとして捕捉する生物学的製剤です。関節リウマチなどの炎症性疾患で、炎症の原因物質の働きを抑えることで症状を和らげます。
エタネルセプト(遺伝子組換え)は完全ヒト型可溶性TNFα/LTαレセプター製剤であり、炎症性疾患の治療に用いられる生物学的製剤です。日本ではファイザー株式会社が販売しています。
本ページの効能・効果および作用機序は、PMDA 公開の添付文書情報(エンブレル皮下注用10mg、ファイザー株式会社)に基づき平易に再構成したものです。用法・用量については医師の処方と最新の添付文書をご確認ください。
作用機序
薬が体の中で何をするかを説明します。用量・副作用・安全性の説明ではありません。
たとえ話
炎症が起きている場所では、TNFαという「炎のメッセンジャー」が大量に飛び交って周囲の組織を攻撃しています。エタネルセプトは「おとり受信機」としてこれらのメッセンジャーをキャッチし、本来の標的細胞に届かないようにすることで、炎を静めます。
平易に言うと
エタネルセプトはヒトTNF可溶性レセプター部分を持ち、過剰に産生されたTNFαおよびLTαをおとりレセプターとして捕捉します。これにより、細胞表面のTNF受容体との結合が阻害され、炎症反応が抑えられます。エタネルセプトとTNFα・LTαの結合は可逆的であり、いったん捕捉されたTNFα・LTαは再び遊離されます。
詳しく
エタネルセプト(遺伝子組換え)は、ヒトTNF可溶性レセプター部分が過剰に産生されたTNFαおよびLTαをおとりレセプターとして捕捉し(レセプター結合反応)、細胞表面のレセプターとの結合を阻害することで、抗リウマチ作用および抗炎症作用を発揮します。本剤とTNFαおよびLTαとの結合は可逆的であり、いったん捕捉されたTNFαおよびLTαは再び遊離されます。U937細胞表面のTNF受容体に対するTNFの結合を阻害することが確認されています(解離定数 Ki=1×10⁻¹⁰ M)。
アニメーションで仕組みを見る
仕組みを分かりやすくした模式図です。縮尺や形は実際のものではありません。
TNFデコイ受容体(可溶型TNF受容体)の働き
- 免疫細胞はTNF-αやTNF-βというサイトカインを出し、細胞表面の受容体で炎症のスイッチを入れる。
- デコイ受容体は、本物の受容体のコピーで、血中に溶けて浮かんでいる。
- これが血中でTNFを捉え、細胞の本物の受容体に届く前に遮る。
- 受容体に届くTNFが減ることで、炎症のシグナルが弱まる。
ターゲット:TNFαおよびLTα(腫瘍壊死因子)
免疫細胞から分泌される炎症性サイトカインで、関節リウマチなどの炎症性疾患で過剰に産生されます。細胞表面のTNF受容体に結合し、炎症や組織破壊のシグナルを伝達します。
承認された適応
適応は国によって異なり、変わることがあります。必ず最新の添付文書に従ってください。
Japanでの承認適応
PMDA- 既存治療で効果不十分な下記疾患:関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)
- 既存治療で効果不十分な下記疾患:多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎
公式ソース
このページの記述は、以下の記録に遡ることができます。
- PMDA 医療用医薬品添付文書(エンブレル皮下注用10mg)
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)
- DailyMed 医薬品添付文書(ENBREL)
DailyMed, U.S. National Library of Medicine
このページは、薬が体の中でどう働くかをやさしく説明するためのものです。使うときの注意は、お手元の説明書か薬剤師さんにご確認ください。
MedUnfold は教育目的のコンテンツであり、医療上のアドバイスではありません。必ず最新の添付文書と医療専門家の指示に従ってください。