メトホルミン塩酸塩
メトホルミンは2型糖尿病の第一選択として広く使われる経口血糖降下薬です。すい臓からのインスリン分泌に頼らず、肝臓でのブドウ糖産生を抑えながら血糖を安定させます。
メトホルミン塩酸塩は2型糖尿病の基礎治療薬であり、日本ではオリジナル製剤および多数の後発医薬品が流通しています。
本ページの効能・効果および作用機序は、PMDA 公開の添付文書情報(グリコラン錠250mg、日本新薬株式会社)に基づき平易に再構成したものです。用法・用量については医師の処方と最新の添付文書をご確認ください。
作用機序
薬が体の中で何をするかを説明します。用量・副作用・安全性の説明ではありません。
たとえ話
2型糖尿病では、肝臓が「閉め忘れた給水栓」のように血液中へブドウ糖を流し続けている状態に近いです。メトホルミンはその栓を締めて肝臓からの糖の出力を減らし、体がインスリンに反応しやすくすることで、血糖をゆっくりと安定させます。
平易に言うと
メトホルミンはすい臓β細胞からのインスリン分泌を促さずに血糖を下げます。主な働きは、肝臓での糖新生(他の物質からブドウ糖を作ること)を抑えること、筋肉など末梢でのブドウ糖利用を促すこと、そして腸管からのブドウ糖吸収を減らすことの三点です。単剤での低血糖リスクは比較的低く、2型糖尿病の基本治療薬として使われています。
詳しく
メトホルミン塩酸塩は膵β細胞のインスリン分泌を介することなく血糖降下作用を示します。血糖降下作用の主な機序として、(1) 肝での糖新生抑制、(2) 末梢での糖利用促進、(3) 腸管からのグルコース吸収抑制が提唱されています。細胞内ではミトコンドリア呼吸鎖複合体 I の部分阻害による AMP/ATP 比の上昇と AMPK 活性化が関与するとされます。まれに重篤な乳酸アシドーシスを起こすことがあり、腎機能障害例では投与回避が原則とされています。
アニメーションで仕組みを見る
仕組みを分かりやすくした模式図です。縮尺や形は実際のものではありません。
ビグアナイド系薬の働き
- 肝臓は他の物質からブドウ糖を作り、常に血液中へ放出している(糖新生)。
- メトホルミンは主に肝臓での糖新生を抑制し、肝臓からの糖の出力が減る。
- 体の組織がインスリンに反応しやすくなり、血液からブドウ糖が取り込まれやすくなる。
- すい臓に余計なインスリン分泌を促さずに、血糖値が安定する。
ターゲット:肝臓の糖新生経路(AMPK 系)
空腹時に肝臓が余分なブドウ糖を作り出して血液中へ放出する経路。この経路が過剰に働くと空腹時血糖が上がります。
承認された適応
適応は国によって異なり、変わることがあります。必ず最新の添付文書に従ってください。
Japanでの承認適応
PMDA- 2型糖尿病(ただし、食事療法・運動療法のみ、または食事療法・運動療法にスルホニルウレア剤を加えた治療で十分な効果が得られない場合に限る)
公式ソース
このページの記述は、以下の記録に遡ることができます。
- PMDA 医療用医薬品添付文書(グリコラン錠250mg/メトホルミン塩酸塩)
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)
- 412 メトホルミン塩酸塩(糖尿病5)|社会保険診療報酬支払基金
社会保険診療報酬支払基金
このページは、薬が体の中でどう働くかをやさしく説明するためのものです。使うときの注意は、お手元の説明書か薬剤師さんにご確認ください。
MedUnfold は教育目的のコンテンツであり、医療上のアドバイスではありません。必ず最新の添付文書と医療専門家の指示に従ってください。